今月、亀岡秋男先生(北陸先端科学技術大学院大学教授)の監修による「サービスサイエンス」が上梓された(2007.4,(株)エヌ・ティー・エス発行)。同学MOTスクールにおいて開講された「サービスサイエンス」の講師陣、学生が事務局となり、経済産業省サービスイノベーション研究会の報告書等をもりこんだ、サービスイノベーション関連の本邦初の教科書である。研究会の座長である生駒俊明先生、北城恪太郎日本IBM会長も文章を寄せている。私も「日本のサービス産業政策の課題」の章を寄稿させていただいた。その前書きなどをもとにして、サービスイノベーションの議論を紹介したい。
今後の我が国経済成長を達成するための行程として、2006年の夏に閣議決定された「新経済成長戦略大綱」(*i) においては、はじめてサービス産業を製造業と並ぶ「双発の成長エンジン」として位置づけ、サービス産業の生産性を抜本的に向上させることにより我が国経済成長を達成すべきことを示した。一方、我が国の今後の科学技術政策の方向性を示す「総合科学技術会議・第三期科学技術基本計画」(*ii)においても、「国際的に生産性が劣後しているサービス分野は、科学技術によるイノベーションが国際競争力の向上に資する余地が大きい」とし、サービスイノベーションの重要性を指摘している。
このように、政府全体の政策の方向性を示す重要な文書にサービス産業政策への言及がなされていることは、かつてなかったことである。
我が国サービス産業は、すでにGDPの約7割を占めるに至るなど、我が国経済における重要性が増大している。しかしながら、米国等に比較するとサービス産業の比重はまだそれほど高くなく、我が国は今後さらにサービス経済化が進むと予測されている。一方で、欧米に比べ、我が国のサービス産業の生産性向上において遅れがあるとの指摘がある。サービス産業の比重が増すにつれ、我が国経済成長への影響が無視できなくなってきているのである。
サービス産業には、政府の規制の影響下にある大きな産業(運輸、エネルギー、医療、教育など)を含む広義のサービス産業と、それ以外の狭義のサービス産業との分類がある。また、対消費者産業(B to C)と対事業者産業(B to B)との分類もある。
一方、サービス産業は、本来定義のない「第三次産業」であり、農業等の第一次産業、製造業の第二次産業に分類されない「その他産業」であって、その産業構造は複雑で多岐にわたっているとの指摘がある。
このような産業構造の複雑性・多様性から、20世紀においては、政府の骨太なサービス産業政策として確たるものは存在しなかった。もちろん、個別産業政策、たとえば流通産業政策、エネルギー産業政策、情報産業政策などおおきな縦割りでの括りによる政策は実施された。また、消費者行政との観点からの政策も整備されてきた。しかしながら、普遍的で網羅的なサービス産業政策の確立は難しかった。
2001年に省庁再編が行われた際、経済産業省はサービス産業分野の重要性に改めて着目し、新設の商務情報政策局内に「サービス産業ユニット」を設立、従来のサービス産業課一課体制から医療福祉機器産業、コンテンツ産業を含めた3課1室体制に拡大整備した。こうして強化された体制において、体系的なサービス産業政策の検討を進め、新たに2004年度から「サービス産業創出支援事業」、「サービス産業人材育成事業」を本格的に開始した。これらにより、新しいサービス産業政策が確立されつつあるのである。
新たに打ち立てられた政策はサービス産業の特性に根ざした①サービス産業の新ビジネスモデルの確立、②サービス産業に必要な人材育成の2つの側面に着目した戦略的体系となっている。
2006年には、新経済成長戦略検討の一環として、産業構造審議会にはじめてサービス政策部会を設置し、これまでのサービス産業政策を整理し、新たに政策体系を提案した(サービス政策部会中間報告(*iii) )。
これと並行して、私が籍を置いていた経済産業省サービス産業課においては、「サービスイノベーション研究会」を設置し、産学の研究者によるサービス産業におけるイノベーションについての検討を17年度から開始した。この研究会では、ワークショップを開催し、サービス産業におけるビジネスのベストプラクティスの検討、サービスイノベーションのメカニズム、サービスを計測する様々な試みについて議論を深めた。また、2006年3月にはサービスイノベーションシンポジウムを開催し、研究会の成果を発表するとともに、日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役会長 北城氏から「サービスイノベーションによる新たな成長基盤の構築」について基調講演いただきつつ、「サービスイノベーションシンポジウム提言を取りまとめた。
本提言においては、サービスイノベーションを推進するため、サービスイノベーションを担う人材の育成が重要であること、イノベーションを体系的に創成していくための科学的アプローチ方法の開発(サービスサイエンス)が不可欠であること、産学が連携してこうした科学技術の開発体制(産学連携プラットフォーム=サービスイノベーションフォーラム)を構築すべきということなどを提言している。(最終報告書はこちら)
サービスイノベーションについては、前回報告した米国イノベーション関係法案にも盛り込まれるなど、最近急速に国内外の注目を浴びているところであるが、仕掛け人のひとりはIBMパルミサーノ会長である。IBMは、2004年頃から広く世界の学界にサービスサイエンスやサービス教育などの議論を求めてきた。それに呼応して、世界の大学、企業を中心にサービスサイエンスの議論がわき上がってきたとも言える。これは、オープンイノベーション的手法を駆使した新戦略といえよう。先の経済産業省の研究会も、日本IBMの主催するサービスサイエンスシンポジウムでの議論に触発された当時のサービス産業課長(つまり橋本)が、概念を「サービスイノベーション」に拡大して、「IBMの戦略に乗せられないよう独自の」検討(研究会某委員のご発言です)を行ったものである。
その後は、各位ご承知のように、「サービスイノベーション」はついに普通名詞と化し、イノベーションを巡る様々な議論のなかで、重要なパートとして取り上げられつつある。教科書も出版された。しかし、「サービスイノベーション」と一言で言っても、その概念、範囲などは人により受け取り方が異なるのは「イノベーション」と同様か、より複雑である。科学技術の分野でサービスイノベーションやサービスサイエンスを取り上げるには、まだ内容が明確でないところがある。もちろん、その重要性は様々な方々が自覚しているので、いずれ方向性や戦略がはっきりするものと期待される。NEDOにおいても、経済産業省に協力して、サービス工学の戦略ロードマップを明示し、サービスイノベーション推進を実現するべく動き出している。ご期待ください。
2009年4月28日火曜日
2009年4月1日水曜日
エクアドル茶米菌
No2です。茶色じゃなくて紫っぽいんですか?
もしかしたらエクアドル菌かもしれません。
違うかもしれませんが、お米の販売元に確認したほうがいいかもしれないので特徴を書いておきます。
一般的には、通常外観の精米が、放置・水洗・水浸・炊飯あるいは蒸煮の各段階で、淡黄食~黄色~褐色に変色する場合があります。発色の多くは淡黄色ですが、極端なものは黒褐色になります。
褐変原因は、土壌中に広く分布する枯草菌の一変種のバチルス・ズブチリス・エクアドル(一般に言うエクアドル茶米菌)が、繁殖する過程で米粒内に生産した物質(スブテノリン)の、類似物質であることが立証されています。
エクアドル茶米菌は、他の細菌と同様に、発育するためには高水分を必要とすることから、通常の保管・流通上では繁殖は不可能であるので、主に稲の栽培中の倒伏が菌の増殖に関与するのではないかと考えられています。
カビなどの、色素を生産する細菌の汚染を受けた米粒は外観で判断できますが、エクアドル茶米菌に汚染された玄米は、肌ずれは認められず、生産物質は無色 であることから、健全なものと全く区別はできません。この細菌の汚染玄米は、とう精によりエクアドル米茶菌が糠とともに除去されても、精米中には生産物質 (スブテノリン)が存在しており、精米が空気中に放置されたり、水中に投じられたり、さらに加熱されることによって生産物質(スブテノリン)と酸素が結合 することにより、褐変現象が生じるとされています。
したがって、被害重度の精米は空気の酸素に触れて徐々に発色し時間の経過に伴い、淡黄色から黒褐色へと色相の濃度を増すこととなり、被害軽度の精米は、 水浸あるいは炊飯時の加熱によって、より酸素と結合し易い状況下において発色が起きることになり、この時点で初めてエクアドル茶米菌の存在が発見されるこ とになります。エクアドル米茶菌が繁殖過程で米粒内に生産した物質スブテノリンについては、1948年に抽出され研究が行われており、毒性はないとされて います
もしかしたらエクアドル菌かもしれません。
違うかもしれませんが、お米の販売元に確認したほうがいいかもしれないので特徴を書いておきます。
一般的には、通常外観の精米が、放置・水洗・水浸・炊飯あるいは蒸煮の各段階で、淡黄食~黄色~褐色に変色する場合があります。発色の多くは淡黄色ですが、極端なものは黒褐色になります。
褐変原因は、土壌中に広く分布する枯草菌の一変種のバチルス・ズブチリス・エクアドル(一般に言うエクアドル茶米菌)が、繁殖する過程で米粒内に生産した物質(スブテノリン)の、類似物質であることが立証されています。
エクアドル茶米菌は、他の細菌と同様に、発育するためには高水分を必要とすることから、通常の保管・流通上では繁殖は不可能であるので、主に稲の栽培中の倒伏が菌の増殖に関与するのではないかと考えられています。
カビなどの、色素を生産する細菌の汚染を受けた米粒は外観で判断できますが、エクアドル茶米菌に汚染された玄米は、肌ずれは認められず、生産物質は無色 であることから、健全なものと全く区別はできません。この細菌の汚染玄米は、とう精によりエクアドル米茶菌が糠とともに除去されても、精米中には生産物質 (スブテノリン)が存在しており、精米が空気中に放置されたり、水中に投じられたり、さらに加熱されることによって生産物質(スブテノリン)と酸素が結合 することにより、褐変現象が生じるとされています。
したがって、被害重度の精米は空気の酸素に触れて徐々に発色し時間の経過に伴い、淡黄色から黒褐色へと色相の濃度を増すこととなり、被害軽度の精米は、 水浸あるいは炊飯時の加熱によって、より酸素と結合し易い状況下において発色が起きることになり、この時点で初めてエクアドル茶米菌の存在が発見されるこ とになります。エクアドル米茶菌が繁殖過程で米粒内に生産した物質スブテノリンについては、1948年に抽出され研究が行われており、毒性はないとされて います
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